労働安全衛生法改正の概要
労働安全衛生法(安衛法) 改正の目的
平成24年に社会問題となった、大阪の印刷会社の従業員に胆管がんが多発したことを踏まえ、化学物質による労働災害を防止することを目的に安衛法の内容が見直されました。
法律は平成26年に改正され、実施は平成27年(一部は26年にすでに施行。28年施行の項目もあり)になります。
改正点のポイントは以下の7つ
1.化学物質リスクアセスメントの実施
特別規則の対象にされていない化学物質のうち、一定のリスクがあるものなどについて、事業者に危険性または有害性等の調査(リスクアセスメント)を義務付け
(実施日に関しては、法律の交付日から2年を超えない範囲で別途制定されます)
安全データシート(SDS)の交付が義務付けられている640物質が対象。
使用法や使用量によってリスクがあることから、リスクアセスメント義務が強化されました。
2.ストレスチェック制度の創設
労働者50人以上の事業場について、常時使用する労働者に対して心理的な負担の程度を把握するための、医師、保健師などによる検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務付け。
(労働者50人未満の事業場については当分の間努力義務)
ストレスチェックを実施した場合、事業者は検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果医師の意見を聞いた上で、必要な場合は作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならない。
平成27年12月1日から実施されます。
このストレスチェック義務化法案は、精神障害の労災認定件数が、21年度~24年度の3年連続で過去最高を更新するなど増加したことにより、対応が強化されました。
3.受動喫煙防止措置の努力義務
受動喫煙を防止するため、事業者及び事業場の実情に応じた措置を取ることを、事業者の努力義務とする。
平成27年6月1日から実施されます。
4.重大な労働災害を繰り返す企業への対応
重大な労働災害を繰り返す企業に対して、厚生労働災害が企業単位での改善計画(特別安全衛生改善計画)を作成させ改善を図らせる仕組みを創設。
企業が計画作成指示などに従わなかったり計画を守っていない場合などに、大臣が勧告し、それにも従わない企業については公表することができる。
平成27年6月1日から実施されます。
同様の重大な労働災害が同一企業の別の事業場で繰り返し発生する事案が散見したことによる対策
5.外国に立地する検査機関等への対応
国際的な動向を踏まえ、ボイラーなど特に危険な機械などの検査・検定を行う機関について日本国内に事務所のない機関も登録できる。
平成27年6月1日から実施されます。
6.第88条第1項に基づく届出の廃止
規模の大きい工場などで建設物、機械等の設置、移転等を行う場合の事前届出(第88条第1項)を廃止
平成26年12月1日より実施。
7.電動ファン付き呼吸用保護具の型式検定
特に粉じん濃度が高くなる作業に従事する際に使用が義務付けられている電動ファン付き呼吸器用保護具を型式検定・譲渡制限の対象に追加
平成26年12月1日より実施。
注意事項
下記の事項は、従来通りの義務があります。
・作業主任の選定
・蒸気発散減対策
・作業環境測定
・特殊健康診断
参考 有規則に関して
応急処置の仕方が一部変更になります。
有機溶剤取扱い職場の 健康障害防止対策
http://www.kansai.meti.go.jp/3-6kankyo/business/H25FY/03.pdf
従来通りの義務
人体に及ぼす影響、取扱上の注意
有機溶剤使用の注意事項の掲示など
参照リンク
安衛法の改正に関する詳細は下記を参照してください。
労働安全衛生法の改正について |厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/an-eihou/
労働安全衛生に関する事業に関することなら
中央労働災害防止協会→http://www.jisha.or.jp/
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